ついに東京でも殺人アリと呼ばれているヒアリが発見されました。発見された場所は、東京の品川区の大井埠頭です。都の報告によると、6月27日に中国・三山港から大井埠頭で陸揚げされたコンテナ内の中から1匹のヒアリが確認され、同じコンテナは30日に千葉県内で荷物が搬出された後に、再び大井埠頭に返却され、その返却時のコンテナの確認作業中に再び発見されたようです。
現在急速に確認範囲が広まっているこのヒアリですが、どのような特徴があり、どのような対策をすることができるのでしょうか?また、今後このまま拡大していった場合どんな被害があるのでしょうか?
ヒアリについて詳しく書いていきたいと思います。
Contents
ヒアリの原産地は、南米でした。しかし、そこからアメリカ、オーストラリアと広がり、最近ではアジア諸国へと生息地を広げているところでした。
ヒアリには強い毒性が持つ毒針があり、人間にもその毒針で攻撃してきます。ヒアリとは漢字で書くと「火蟻」と書き、刺されると「火傷のような痛みを引き起こす」ことから「火蟻」と呼ばれています。刺された人は、場合によっては死んでしまう場合もあり「殺人アリ」とも呼ばれています。アメリカではヒアリに刺される被害が年間1400万件報告されていますが、そのうちの100人くらいが毎年死亡しているという報告があります。
体の特徴としては、触覚の先に二節からなる膨らみがあり、お腹近くの腹柄に2つのコブがあることです。
ヒアリは日当たりの良い場所に巣を作り、住宅地や公園などの都市型環境のほうがヒアリにとって好環境のようで、繁殖が進みやすいようです。ですので、日本でも東京や大阪、名古屋のような都市部はヒアリにとっては繁殖しやすい環境と言え、繁殖に対する対策が急務になりそうです。
日本でもすでにヒアリが確認された地域は複数あり、今回の東京で発見された時のようにコンテナなどに乗って運び込まれてしまうようです。では、日本国内におけるヒアリの確認地域を時系列にまとめてみましたので、周辺地域の方は十分に気をつけるようにしてください。
まず、最初にヒアリが確認されたのは、兵庫県の尼崎市でした。発見されたのは2017年5月26日。中国広東省広州市から神戸港へと到着したコンテナが、尼崎市へ運ばれコンテナの内部を確認した際に数匹のヒアリが確認されました。後日わかることではあるが、神戸港から運ばれ、尼崎でヒアリが確認されたコンテナ内のヒアリの数は500匹と発表され、その中には女王アリも2匹含まれていたそうです。発見された時には、まだ孵化していない幼虫やさなぎも混ざっていて、繁殖する可能性もあったとしています。
尼崎市で日本初のヒアリの存在が確認されたのち、コンテナの水揚げに使われていた神戸港に調査が入りました。上記でもお伝えしましたが、この神戸港から尼崎市に運ばれたコンテナ内ではヒアリは500匹以上見つかり、女王アリも2匹確認されました。
また、この神戸港からはヒアリとは別の特アリ「アカカミアリ」も100匹ほど見つかっています。アカカミアリはヒアリよりかは毒性は低く、死亡例はありませんが、激しい痛みや水疱ができ、アレルギー反応を起こす場合などもあるので、注意が必要です。
尼崎市、神戸港と続き今後は名古屋市でもヒアリが発見されます。発見されたのは6月30日で、名古屋市にある鍋田埠頭のコンテナターミナルで7匹のヒアリが発見されました。その際には神戸港でも見つかったように「アカカミアリ」も発見されていて、名古屋市の同港管理組合は環境省に調査を依頼しているようです。
次に発見されたのは7月4日に大阪の大阪南港(大阪市住之江区)で発見され、これで国内で4例目となった。この時に環境省は初めて女王アリが発見されたと発表し、その後尼崎市や神戸港で発見されてたコンテナ内でも女王アリが2匹死骸で発見されたと発表しました。またこの大阪港でも「アカカミアリ」が発見されています。
そして7月6日についてに東京都でもヒアリが発見されたと発表がありました。場所は品川区の大井埠頭です。中国広東省の港で貨物船に積み込まれ、香港で積み替えたコンテナ内にいました。7月3日に作業中の作業員が見つけ、駆除したのち調査をしたところヒアリと確認されましたが、健康被害はありませんでした。
これで現在のところ発見された場所は以上となりますが、どの地域へもアジア地域からのコンテナ内に隠れていてそのまま侵入させてしまっているようですね。数匹ではなく数百匹といった数なので、より繁殖していく危険性が高いです。どうにかして侵入する前に何らかの対策を行ってほしいものですね。
ヒアリには他の普通のアリと同じように、女王アリと働きアリがいます。怖いのはこの女王アリの繁殖力です。ヒアリの情報ありは1時間に80個のペースで卵を産み、一生の間に200万〜300万個の卵を産むとされています。
働きアリは、卵を産むときには、働きアリを食べて栄養にする場合もあるようです。そんな働きアリたちは女王アリを守るために生きているようで、女王アリが生殖力を持つ時期には外敵から女王アリや雄アリを守るために普段の毒の量が1.5倍になると言われています。
また、女王アリの中には羽が生えているものもいて、飛びながら遠距離へと移動することも可能なのです。これにより住み着いた地域から別の住みやすい地域へと移動し、またそこで繁殖をしていくのです。
そんな恐ろしいヒアリにも天敵と言われるものがいるようです。その天敵とは「ゾンビバエ」というハエの一種で、ノミハエというものすごい小さいハエの仲間だそうです。このゾンビバエはヒアリを主食としているようで、ヒアリの背中に着地したと同時にヒアリの体内に卵を産みつけ、その卵が体内で孵化すると、ヒアリの養分を食べて成長します。ヒアリはそれに気づかず、最終的にゾンビバエは脳まで食い尽くします。
しかし、この間もヒアリは動き続けます。養分を食い漁られ、脳まで食べられたのに動いているのです。それはゾンビバエがヒアリの体を操っていると言われ、死んでいるのに生きているかのように動かすから「ゾンビバエ」と言われているようです。
最後に、ゾンビバエの体から酵素を出し、ヒアリの頭部内を溶かした上で、ヒアリの首がぽろっと落ちるとゾンビバエの役割は終わります。これだけ聞くとヒアリ以上にゾンビバエの方が恐ろしいですね・・・
本当は繁殖が広がらないように国や地域できちんと対策をしてほしいいのですが、今後繁殖が広がり万が一ヒアリに刺されてしまったときにどのような対処をしたほうがいいのでしょうか?
まず、ハチなどの毒性を持っているものに刺されたことがある人は要注意です。「アナフィラキシーショック」という、過度なアレルギー反応が起こり、最悪の場合命を落とすことになります。
刺された場合は、極力体を動かさずに安静にして体に異常がないかを確認してください。
体が熱いと感じたり、痛みを感じた場合はすぐに救急車などを呼び医者に行くようにしましょう。刺された場所に次第にかゆみを伴うようになり、半日もすると膿が出てきたりします。
少し症状が強いと、刺された箇所から腫れあがり全身へと広がり、盛り上がったかゆみを伴う蕁麻疹のようなものが発症します。
重症な場合には、刺されてから数十分で蕁麻疹や、息苦しさ、呼吸困難や動機などが起こり、めまいや血圧低下、さらには意識不明という事態まで陥ります。この場合は「アナフィラキシーショック」が疑われるので、速やかに処置を行う必要があります。
この際の処置の方法としましては、「エピペン」というアレルギー対策の際に用いられる自己注射器があるので、それを刺して血圧をあげるようにしてください。刺されてから用意するのでは遅いので、ヒアリが生息してそうな場所に行く際には、必ず携帯するようにしましょう。
ヒアリを見つけたときには、駆除が必要になりますが、危険も伴いますので十分注意をして駆除を行ってください。ヒアリの駆除方法は以下のとおりです。
熱湯をかける
ゴキブリなどもようですが、ヒアリも熱湯には弱いようです。ヒアリに熱湯をかけると死にますが、アリ塚の深い部分にいるヒアリには届きませんので、注意が必要です。
殺虫剤などをまく
殺虫剤などの液剤をまくという駆除方法もあります。しかし、こちらも全てのヒアリを駆除できる保証がないのと、他の虫たちにも影響を与えてしまうので、使用の際には注意が必要です。
顆粒やゼリー状の毒餌を設置する
この方法は、時間がかかるので今すぐになんとかしたいという方にはしょうがないですが、アリ塚にいる他のありにも効果があるので、急ぎの駆除が必要でない場合はこの駆除方法がいいかもしれません。
しかし、どの駆除方法よりもまずヒアリを見つけたらお住まいの地域の「地方環境事務所」に連絡して調査、駆除をしてもらうのが一番です。決してむやみにアリ塚に近づいて下手にヒアリを刺激しないようにしてください。
この他にもヒアリに関する情報を得たいという方には書籍も出てきますんので、こちらで対処法や生態について調べるということもできます。
東京でもヒアリが確認されたということで、他人事ではなくなってきた人もいるのではないでしょうか?どんどん繁殖して行ってしまった場合でもきちんとした知識と対応をしていきたいものですね。また、興味本位で変にアリを刺激する行為はもっとも危険です。自分の身は自分で守るためにもしっかりと対応をしていきましょう!