今春、イギリスの出版社が公表した日本の大学ランキングで、東京大学、京都大学、早慶上智大学などと肩を並べ上位に会津大学がランクインされました。名門大学ばかりが上位にランクインされる中で、それらに割って入って行った会津大学。そのヒミツとは一体なんでしょうか?入試方法や授業のカリキュラムにも独自性があり、今後注目されること間違い無しです!!
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「世界大学ランキング」とは、イギリスの有名な教育専門誌が発行している「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)という雑誌で公表されている世界各国の大学ランキングのことで、今回は「世界大学ランキング(日本版)」ということで、日本の大学ランキングが初めて公表されました。
THEは日本のベネッセをパートナーとし、「日本の大学における“教育力”の高さを国内外に伝えるランキング」としてこれまで見えにくかった日本国内の大学における「教育力」に焦点をおいています。
「日本の大学における“教育力”の高さを国内外に伝えるランキング」として発表された世界大学ランキング。もちろん上位を占めるのは日本の名門大学。1位は東京大学、2位は東北大学、3位は京都大学と日本屈指の大学がランクインされています。
そんな中、順位を下の方に辿って行くと。。。名門大学にまぎれてあまり聞き慣れない大学の名前がランクインされていました!!
23位 会津大学(あいづだいがく)
みなさんはこの会津大学をご存知でしょうか?
なぜこの会津大学がそうそうたる名門大学の中を割って23位という上位にランクインされたのでしょうか?そのヒミツに迫りたいと思います!!
会津大学の上位ランクインのヒミツを知る前に、THEの世界大学ランキングがどのように大学を評価してランクを作成しているかを知りたいですよね!!評価基準をまとめました。
どれだけ充実した教育が行われている可能性があるか
この「教育リソース」は5つの評価基準から構成されていて、全体評価の中でも28%の割合を占め特に重要視されています。
・学生一人あたりの資金(10%)
・学生一人あたりの教員数(8%)
・教員一人あたりの論文数・被引用回数(7%)
・大学合格者の学力(6%)
・教員一人あたりの競争的資金獲得数(7%)
どれだけ教育への期待が実現されているか
「 教育満足度」は2つの評価基準から構成されていて、全体の26%を占めます。
・高校教員の評判調査:グローバル人材育成の重視(13%)
・高校教員の評判調査:入学後の能力伸長(13%)
どれだけ卒業生が活躍しているか
「 教育成果」は2つの評価基準から構成されていて、全体の20%を占めます。
・企業人事の評判調査(7%)
・研究者の評判調査(13%)
「 国際性」は2つの評価基準から構成されていて、全体の16%を占めます。
・外国人学生比率(8%)
・外国人教員比率(8%)
以上のような評価基準を設けて「THE世界大学ランキング 日本版」が作成されました。では、会津大学はこの評価基準のどのような部分に該当しているのでしょうか?
THE世界大学ランキング日本語版の23位にランクインされた会津大学は、1993年に開校した4年制の大学で、これより以前には会津には4年制の大学はありませんでした。4年制の大学は会津地方の人々にとっても念願だったようですね。
今の大学のコンセプトを作ったのは当時の福島県知事(佐藤栄佐久知事)。「作るならとがった大学を作ろう!」とのことで、大学のコンセプトを以下の3つに決定しました。
① ICT(情報通信技術)
② ベンチャー
③ 国際性
学部はコンピューター理工学部のみとして、世界各国からコンピューターの専門家を集めました。ちょうどその時期は冷戦集結の時期だったのでロシア人の研究者が多かったが、現在ではインドやカナダなど17カ国から42名の外国人研究者が在籍しており、全体の約4割が外国人教員となっています。
また、学内での公用語は「英語」と「日本語」の二カ国語としており外国人教員に定着しやすい環境づくりがされています。文書は英語で作成することを定め、日本人同士でも英語で会話やコミュニケーションととることが採用されてきました。
会津大学では入試方法も独自なものが用意されています。最も定員が多い方式に採用されている入試方法は
1次試験:センター試験入試で理科の1科目のみ!
2次試験:数学と英語の2科目のみ!
センター試験を理科1科目だけにしている学校は他にはありません!こんなところにも独自性が出ているんですね。文系科目が苦手な方、多くの科目を勉強したくない方にはうってつけですね!
近年の日本の大学は、「入学は難しいけれど、卒業は簡単」と言われてきました。しかし、会津大学では入学してからが大変です。
入学すると1年生からプログラミングの授業が用意されていて、プログラミングの知識をみっちりと叩き込まれます。徹夜組が出るほどの課題が大量に出され、1年生のうちにプログラングに関しての知識や技術を習得出来るようになります。
3年生からは英語のみの授業が本格的に開始されて、卒論も英語で書かなければいけません。ここで国際舞台で活躍するための力が培われるんですね。しかし、卒業出来るのは毎年全体の約75%だそうです。このように厳しい環境で育った学生たちは各々の就職先へと進んで行くのですね。
厳しい環境での4年間を経て、就職する道へと進む学生たちの近年の就職率は驚きの97〜98%。大手企業に就職する学生も多くいる。また、大学のコンセプトでもあるように自らベンチャー企業を立ち上げる学生も多く、2017年3月末までで大学発のベンチャー企業は18社だという。学生起業家での数字も全国ではトップクラスです。
会津大学のように知名度は有名大学よりも高くはないけれど、「教育リソース」「教育満足度」「教育成果」「国際性」で大きな評価を得て上位にランクインする大学があります。これからも大学それぞれの独自の特色を生かしたカリキュラムで、優秀な学生が社会で活躍していって欲しいですね。